エスカレーター輸送量・幸福度シミュレータ

エスカレーターの乗り方ルールを切り替えると、輸送量(システム側・客観)/所要時間(個人側・客観)/幸福度(個人側・主観)が どう変わるかを、利用者を1人ずつ動かして比較します。本ツールは特定の乗り方を推奨するものではありません。

表示するルール
混雑・構成
タイプ構成比(相対値)
エスカレーター
幸福度モデル 主観・仮想
歩く/立ち止まる自由の侵害の評価

ルールで望まぬ動作を強いられた不満をどう測るか。反映=望まぬ状態にいた絶対時間で評価(二列立ち止まりで立たされる急ぎ派は、静止で乗車時間が長い分だけ不満が大きく出る)。無視=乗車中に望まぬ状態だった割合で評価し、強制された急ぎ派と立ち止まり派の不満を対称に扱う。

「強制派」が、周囲に自分と違う乗り方をする人がいることに感じる不満を、全体幸福度へどれだけ算入するか。 0=算入しない(ただのエゴ)~1=完全に算入(正当な不満)。この値の解釈(正当な不満か/エゴか)はあなたに委ねられます。

計測・乱数

3ルールの比較 同一シード・確定値

同じ到着系列・同じタイプ系列に3つのルールを適用し、計測窓を通過した確定値で比較します(差はルールのみに起因)。 どのKPIを重視するかで「良い乗り方」の結論が変わることを見るためのパネルです。 所要時間は「待ち+乗車」、幸福度は「満足+不満の内訳(①待ち/②希望動作/③逸脱)」を積み上げで示します。

このシミュレータの読み方

KPIと立場について
  • 輸送量所要時間は物理モデルの実測値です。デフォルト値は一般的な実測値・規格を目安にしています。
  • 段間隔のデフォルトは実測に基づきます。立ち止まりは「1段おき(間隔2段)」、歩行は「2〜4段空け(間隔約3.5段)」で、いずれも利用調査(日立ビルシステムの首都圏駅調査、ロンドン地下鉄 Green Park の観測)と整合します。段を詰め切らないのは、乗り口での躊躇と個人空間の確保(「空き段現象」)によるものです。
  • この設定では、立ち止まりが多数派・中程度の混雑のとき二列立ち止まりの輸送量が高く出ます(片側空けは静止側に人が集中して詰まる一方、歩行側が埋まりきらないため)。一方、歩行側は1レーンあたりの能力が高いため、歩く人が十分に多い極端な過負荷では片側空けが逆転します。「良い乗り方」は混雑度と利用者構成で変わります。
  • エスカレーター速度は設置や国によって差があります(例: シンガポールは日本の標準の約1.5倍速とされる)。速度・段数などはスライダーで再現できます。
  • 幸福度は主観に関わる仮想モデルです。不満の要素(待ち時間/希望動作の可否/他人の逸脱を見る不満)を数値化していますが、 重み付けや正規化には仮定が含まれます。輸送量・所要時間とは性質が異なる指標として区別してください。
  • 本ツールは特定の乗り方を推奨するものではありません。感じられる不満をそのまま数値化する記述的モデルであり、規範的な当否は判断しません。
モデルの前提・対象外
  • 1回の実行中、ルールは固定です。モデル内に「混雑しているか」の判定はなく、混雑度はあなたが設定する到着率そのものです。
  • レーンの選び方はタイプで決まります。片側空けでは、急ぎタイプは歩行レーン、立ち止まりタイプは立ち止まりレーンに並びます。中立タイプは待ち行列が短い方のレーン(同数なら立ち止まり側)を選びます。中立が空いている列を選ぶことで両レーンの混雑が均され、片側空けでも歩行レーンが埋まりやすくなります。二列立ち止まり・全員歩くでは両レーンが等価なため、タイプによらず全員が短い方の列に並びます。
  • 「全員歩く」(強制歩行)は現実的な運用ルールではありません。歩けない・歩きたくない人に歩行を強いる点で、そのまま採用できるものではありません。ここでは「二列立ち止まり」(全員静止)という一方の極を選択肢に含める以上、公平性の観点からその対極も同じ条件で試算するために置いています。特定の乗り方を推奨・否定する意図はありません。
  • 到着率は定常(一定)です。本シミュレータはピーク最中の一定時間を切り出したもので、過負荷設定で行列が伸び続けるのは 「ピークがこのまま続いたら」の意味です。現実のラッシュにはピークがあり、いずれ行列は解消されます。
  • 安全性(歩行時の転倒リスク)・エネルギー消費・機器の偏摩耗は、信頼できる数値根拠がないため本シミュレータの対象外です。
  • 計測はウォームアップ期間(空の状態から始まる偏りを除外)ののち、計測窓の実測値で確定します。
参考: エスカレーターの高さと「歩く人の割合」
  • 高いエスカレーターほど歩く人は少なくなります。当然のようで見落とされがちな点です。ロンドン地下鉄の実測では、歩行する人の割合は短いもの(7〜8m)で約53〜61%、高いもの(23m)で約44%まで下がります。
  • この「歩く人の割合」の違いが、どの乗り方が有利かを左右します。ロンドン地下鉄の分析では輸送量が逆転する高さの境界は約18.4mとされ、これより低いエスカレーターでは片側空け(歩行を許す)の方が輸送量が高く、高いエスカレーターでのみ二列立ち止まりが上回ると報告されています。
  • 実例: Holborn 駅(約23.4mと非常に高い)では二列立ち止まりで輸送量が約30%増(151 vs 115人/分)。一方、より低いCanary Wharfでは全員立ち止まりにすると輸送量が約10%減少しました。「二列立ち止まりが常に有利」という一般論は、実は高いエスカレーターを前提とした話です。
  • 本シミュレータでの再現方法: 「歩く人の割合」は構成比スライダー(急ぎ/立ち止まり)で調整できます。加えて、高いエスカレーターで起きる「歩行が疲れて遅くなる・間隔が広がる」効果は、歩行速度倍率を下げ歩行段間隔を広げることで表現できます。高いエスカレーターを想定するなら歩行タイプを減らし歩行を遅く・広くすると二列有利(Holborn型)に、短いエスカレーターならその逆で片側有利に寄ります。
  • 出典・参考リンク:

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